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【つじけいさん】「そのままでいいんです」と心からいう 後編

トレーニング生、つじけいさんのブログからの転載です。

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はっさくな日々。
「そのままでいいんです」と心からいう 後編


義母(おみよさん)は10年前に脳挫傷になった。
こけて後頭部を強打した。
後ろにいった脳が前に激しくぶつかって
たくさんつぶれてしまったという。

前頭葉をかなりとった。

おみよさんは左半身が動かない。
右半身は少し動くけどコウシュク(どんどん曲がってくる)
している。
右手はいつもピースしている。
曲がっている指はつめきりもままならないほど、
固く握られている。
うでは少し伸び縮みできる。
足はだいたい60℃ぐらいにまがっている。少し伸び縮みできる。

しゃべれない。
でも「あついですか」などときくと
うんとかううんとかいってくれる。

そういう、目の前の言葉には
調子のいいときはちゃんと反応してくれる。

記憶はごちゃごちゃになっているようだ。
関係性などは難しいみたいだ。
私は嫁だったり妹だったり
看護婦さんだったりする感じがする。(たぶん)

自分の年齢を前にきいてみたときは
38とかいたはった。(少し字が書けた)
ほんとは77歳なんだけど。さば読み過ぎです。
昔のことはよく覚えているのかもしれない。

たまの来訪客には反応がいい。
親戚、古い友人など。
うちの実家の父親がきたときなどは
橋田壽賀子ワールドの緊張感が伴うのか、
すこぶる反応がいい。

「ごぶさたしてます」と父がいうと
「あーこちらこそどうもどうも」みたいに
腰がうかんばかりにお礼をしてくれる。
おみよさん最大級のうごきだ。

しかしまあとにかく話さはらないので
なにをどこまでわかってはるのか,定かではない。


ときどきアレクサンダーテクニークの練習をさせてもらう。

「座骨はここです。ここに体重のせてください」
などと説明するとうんうんとうなずいてくれている。

まあまあ気持ち良さそうなときもある。
とりあえずそんなに嫌な顔はしてないから
わるくないのだろうと勝手に思っている。


先日クラスで
人の体に触れる時、
手が低反発クッションになったみたいに触れる
というのを練習した。
相手の体の形に自分の手が形作られる,というものだ。

おみよさんに練習させてもらった。

おみよさんの少し変形したfootの部分に
のばしにくいひざに
曲がったままの指にふれる。
それらの形に私の手が形作られる。

その時前編で書いたことを思い出した。


「そのままでいいんです」っていわれると安心する。
そのままの私がどんなであっても
その話を聞いてくれる人の話はきく気がする。

みたいなこと。


「おみよさん,今はどんなですか。
ああここはこんな形になってるんですねえ。
そうですか。そのままでいいです。
かえなくていいです。」
そう本当に思った。

すると、おみよさんがじっと私を見た。

とてもやさしい,はっきりした目だった。

「はじめて私を受け入れてくれたのね」

そういわれたみたいだった。

おみよさんの体がものすごく動いた。
何もしないのに。

そうだ、私はいつも何かしようとしていたのだ。
何かをしておみよさんをいい使い方に
させてあげようと思っていたのだ。

その変形したfootや
曲がったままの指や
あまりのびないひざを
矯正しなくてはいけないものだと
やはりどこかで思っていたのだ。
いつも変えたがったのだ。

おみよさんの体にきいているつもりで触れながら
「そうですか,それならこうしないと・・・」
と話半分で自分のペースに持ち込んでいた。


おみよさんは77年頑張ってきました。
今、指も足もこんな風に曲がってます。
それでいいです。充分です。


たぶん、はじめて本当にそう思えた瞬間だった。

それから何となく
コミュニケーションがとれやすいように思う。
すこし、信用してもらえたのかもしれない。

10年前から考えると
だんだん反応が悪くなってきたといわれるときがある。
そうきくとすごく嫌な気持ちがするけど
私もしかたのないことだと思っていた。

でも
医学的にたとえそうであっても
ちゃんとコンタクトすると違うのだと思った。

私が勝手に「反応が悪い」ときめて
ちゃんと話を聞かなかったから
おみよさんにあきらめさせていたのかもしれない。

子供と同じだ。
わからないと思って話すとわからないのだろう。


子供も3人になった。
じぶんのやりたいこともやりたい。
はっきりいって
おみよさんに充分なことがいつもできている訳ではない。

それに対して「申し訳ない」という気持ちと
「しかたがない」という気持ち
「どうしたらいいのだろう」という気持ちが交錯する。

でも
「そのままでいい」と心からいって
ちゃんと話しを聞くことは
そんなに時間のかからないことなんじゃないかと思った。

服を着替える時に。
頭の位置を変える時に。

触れる必要のある短い時間に
すこしずつできるのかもしれない。




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